聴くチカラレベル2

トレーニング全体像はこちらから。

80時間から100時間トレーニングすると身につく聴くチカラのレベル2は、
15分くらいの時間、集中して、
相手の話を「正確に」聴くことができる段階です。

カウンセリングマインドがより深まった状態で、
それ以前に比べて「人の話を聴くリスク」も理解しています。
一つずつ詳しく見ていきましょう。


★正確に聴ける

人には、ある業界の会社員であるとか主婦であるとか、
置かれた環境で通じやすい共通言語があります。
逆に言うと、共通する項目が少ない初対面の人とは、
すぐに理解しあえるような言葉が少ないです。

日本語は接頭語・接尾語・助詞など、
細かい言葉にも全てに意味がありますが
いつもの環境に近い、理解しやすい話以外は、
耳に入っているはずなのに、思ったよりも認識できていないのが普通です。

多様な人の多様な話を、ある程度正確に聴いてその場で認識するには、
100時間くらいのトレーニングが必要です。

正確に聴けているかどうかは、
話の「大事な部分を」繰り返して伝えられるかどうか、でわかります。

話を聞きながら、キーワードを繰り返すことは、
ちゃんと聴いているということを伝えることで信頼を深めるという
「聞き手側のメリット」と、
鏡のように自分の口から出た言葉を確認することで自己理解を深める
「話し手側のメリット」の両方があり、
さらに繰り返す言葉によって後の話の展開を左右してしまう重要な働きがあります。

話の本題に沿ったキーワードであれば話の内容が深まり、
本題と直接関係のない「枝葉」であれば、
拡散してしまって流れを見失うことにつながります。

以上から、話を聴きながら、重要なキーワードを判別し、
本題から離れずに正確に繰り返すのは、
なかなかスキルがいることはおわかりいただけるかと思います。
実際にやってみると難しいですよ!

★カウンセリングマインド

カウンセリングマインドは、和製英語で、
非専門家がカウンセリング(特に来談者中心療法)の態度や理論を用いる時に使う言葉です。
トレーニング100時間では、
初級のカウンセラー資格が出るくらいでまだ専門家とは言えませんが、
相手中心に相手の気持ちに焦点を当てること、
上下関係でなく対等の関係で信頼と尊重を重ねることを、
教科書をなぞっただけでなく体験を通して学んでいる段階ではあると思います。

クライアントのために何かしてあげる、
という考えは上から目線であって、
自立は対等の関係からしか生まれないということも、少しわかってくる頃です。

★人の話を聴くリスク

リスクには大きく二つあります。
・相手を依存させたり、傷つけたりする
・人のネガティブな話を聞いて巻き込まれ、自分もネガティブになる

ボランティア相当のトレーニング時間では、
このようなリスクにはほとんど触れることができません。

実際にボランティア活動をしたり福祉の現場で「相手のための」傾聴を志していて、
つらくなってつぶれてしまう人が多いのは、このためと思われます。

何が「相手のため」になるのかは、上でシンプルに書いたように、
「対等の関係で」信頼を重ねた先にあることです。
奉仕の精神は福祉の現場では尊いですが、
相手の自立を目的にした場合には行き過ぎた自己犠牲は
人のためにも自分のためにもならなかったりします。

また、悩み相談という性質であれば、
聴いていてつらくなる話に出くわす機会はゴロゴロあるでしょう。
たとえば、肉親との確執があったり、
自分自身の夫婦仲や育児でつらいことがある人が、
似た境遇の話を冷静に聴くことができるでしょうか?

さらに自分の価値観では受け入れられない話というのもあるかもしれません。
カウンセラーを志す人は、自分の許容量を広げるために、
クライアント体験をたくさん積んで、 自分に向き合うことも並行して行っています。

自分のこだわりを見つめ直して、少しずつ緩めていくことができると、
人の話ももっと聴きやすくなり、生きるのも楽になっていくのです。

リスクの存在と、その対応については、
トレーニング時間100時間前後で少しずつ知り始める人が多いようです。