聴くチカラレベル1

トレーニング全体像はこちらから。

30時間ほどトレーニングした際に想定している聴くチカラのレベル1は、
相手の話を「受容的に」聴くことができる段階です。

受容的に、というのはやや抽象的な表現ですね。
相手の存在をゆったりと受け入れながら、
相手が話したいことを邪魔しないでしっかりと耳を傾けて聴く、という態度が身につきます。 
「邪魔しない」は、
自分の立場で、評価や意見やアドバイスに当たる言葉を言わない、
本人が話したいことと関係ないことをきかない、を意味しています。

気持ち良く話したいことを話してもらえる、まずはこれが目指すべき最初のレベルです。
邪魔しない、どんなことを言っても受容する、
これが第一歩目の「尊重」なのです。

傾聴の技法では、相槌・頷き、繰り返しがそれなりにできれば
スムーズに話を促進することにはつながります。
肝心の理解はというと、

この段階ではほぼできていないことが多いです。

話の理解、つまり話し手本人の感情や優先順や、
どの部分が大事なのか、
つまりキーポイントがわからずに、
ただ一生懸命きいているといった状況になります。

なぜわからないかというと、聞き手の準拠枠がカチカチだからです。
この状態では、自分の理解しやすい言葉しか耳に入らないし、
フィルタを通した解釈しかできません。

そんな状態で、何か言おうものなら、
ポイントを外した質問や、傷つけかねないジャッジや、自律を奪う助言といった、
相手のためにならない自己満足の言葉にしかならず、

場合によっては有害なので、
総じて「意見を言うのは邪魔になる」、というわけです。

準拠枠が固い時、 つまり自分の見方しか知らない時は、
聞き手として自分と違う見方の話を意見を言わずに聴くのはなかなかつらい部分もあります。

でも、 事実、つまり事柄、話し手本人以外の登場人物がどうした、
何を言ったという 「ストーリー」はわかるので、
ついつい事柄を追いかけようとしてしまい、
余計な事実確認をしてしまう段階でもあります。

具体的には、事柄を繰り返したり、質問してしまったりします。
話し手は、質問はもちろん、単純に繰り返されただけでも、
その言葉についてもっと説明しようとしますので、
肝心の話、本当に話したかった話はできずに、
事実の説明ばかりして時間を使わせてしまうことになります。

 

レベル1では、後から振り返って、

相手の言葉に対して自分が何を言ったか? それがどう影響したか?

を思い出せることも目指します。

これができると、次の段階に入れます。


また、ボランティアであっても人の話を聴くにはリスクがあります。
このリスクに無防備で、
一番さらされているのがレベル1の段階にいる人です。

次は、その話にも触れたいと思います。